災害は予測が難しく、地震や火事などが起きればその影響は甚大です。
いつどこででも災害が起こる可能性があり、被害を防ぐためには発生を想定した備えと対策が求められます。
この記事では、自然災害や人為災害に対する備えと、災害発生時の対応について、ビル管理の視点から詳しく解説します。
ビルオーナーに求められる自然災害・人為災害への備え
建物の規模や種類によって必要な対応は異なりますが、ビルオーナーには災害への備えが義務付けられています。
人為災害への備えとして、以下の施設においては防火管理者を選任する必要があります。
・収容人員が30人以上の劇場や百貨店、旅館、ホテル、病院などの施設(特定防火対象物)
・収容人員が50人以上の図書館や工場、駐車場、倉庫などの施設(非特定防火対象物)
これらの施設では、防火管理者が消防法に基づいて消防計画を作成します。
この計画には、消火、通報、避難訓練の実施、消防用設備の点検および整備、火気の使用や取り扱いに関する監督、避難施設の維持管理などが含まれます。
また、自然災害に備えて、ビルの所有者やテナントの管理権原者には、非常用物資の備蓄や災害対応マニュアルの作成も推奨されています。
災害に備えたビル管理会社の役割
当社は、長野県、新潟県、富山県、石川県エリアを中心に、さまざまな施設の管理を行っていますが、ビルの種類によっても管理会社が担う役割は異なります。
例えば、市役所のような公共施設では、危機管理を担う部署を中心に独自の防災計画を策定しています。
そのため、ビル管理会社が防災に関わるのは機械などのハード面が中心です。
一方、小規模のビルやマンションなどでは、オーナーや管理組合が危機管理の役割を担いますが、専門知識の不足から防災対策が疎かになることもあり、この場合はビル管理会社によるソフト面でのサポートが重要になります。
具体例として、当社ではビルオーナー様から依頼を受けて、次のようなお手伝いをしています。
・防災計画の策定
防災計画は、災害時の対応を迅速に行うための指針となるものです。
例えば、避難経路の確認と表示、防災訓練の実施などを通じて、ビルの利用者が迅速かつ安全に避難できるように準備します。
専門知識を持つビル管理会社が防災計画に関与することで、建物内の安全性が向上し、災害時の被害を最小限に抑えられます。
・防災訓練の実施
防災訓練は定期的に行い、実際の災害時に備えたシミュレーションを行うことが重要です。
当社では、必要に応じてスタッフを派遣し、防災機器の操作や消火器の放出訓練などを行っています。
・緊急連絡体制の確立
災害発生時には、迅速な連絡体制が求められます。
そのためには事前に連絡網を整備しておき、緊急時の連絡方法を明確にしておくことが重要です。
当社が管理するマンションでは、以前、足の不自由な方を把握するために住人にアンケートを行いました。
災害時にエレベーターが使えない場合の避難を想定して実施したものです。
対応として、近くの住人に足の不自由な方への配慮を呼びかけるとともに、階段昇降機の設置を提案しました。
災害発生時と事後の対応
発生時の対応
災害が発生した際の避難誘導は、自主防災組織のメンバーや企業の防災担当者、ビル管理会社のスタッフらが対応にあたります。
災害発生後は、建物の被害状況を迅速に確認することが求められます。
当社ではアプリを使用し、災害時にスタッフ間で連絡を取れる体制を整えています。
これにより、すぐに情報を集約して被害状況を把握できます。
場合によってはスタッフが現地に急行して、館内放送で注意警告を行うなどの対応にあたります。
事後の対応
事後の対応としては次のものがあります。
・保険の請求手続き
災害による被害に対しては保険の請求手続きが必要です。
請求手続きはビルオーナーと保険会社との間で行われますが、被害報告のヒアリングなどの場面ではビル管理会社が対応することもあります。
・被害の把握と復旧
安全に施設を利用できるよう、ビルの機能をできるだけ早く回復させることが重要です。
当社では建物が被害を受けた場合に、スタッフが目視で点検して回ります。
外壁のひびや排水管の損傷、漏電などが確認された場合は、ビルオーナーに直ちに報告。
その上で、一時的な補修や、必要に応じて専門業者に修復工事の手配と進捗管理を行います。
まとめ
自然災害や人為災害に対して備えるべきことは多く、ビルオーナーには大きな責任が伴います。
災害への備えや発生時の対応において、ビル管理会社の役割は重要です。
信越ビル美装では、日常的な点検から防災計画の策定、防災訓練の実施など、さまざまな場面で防災に向けたお手伝いをしています。
これまで数多くの施設管理を行ってきたノウハウをもとに、災害に備えたご提案ができますので、お気軽にご相談ください。