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どんな施設においても建物の維持管理は大切ですが、特に不特定多数の人が利用する大規模な建築物においては、衛生的環境の確保は欠かせません。
そのため、該当する建築物の所有者は、建築物衛生法に規定される「建築物環境衛生管理基準」に従って、「空気環境の調整」「給水の管理」「排水の管理」「清掃」「ねずみ等の防除」に取り組む必要があります。
 
今回はその中の「空気環境測定」について、実施の対象や頻度、ポイントを解説します。
 

 

空気環境測定とは？

 
空気環境測定とは、建築物の空気中の成分を測定し、適切な空気環境に保たれていることを確認する作業です。
一般的には、建築物の所有者や管理者がビルメンテナンスの専門業者に依頼し、法令に基づいて定期的に測定を行ってもらう必要があります。

なぜ空気環境測定が必要なのか？

大規模な建築物においては、開閉可能な窓が少なく、施設内の換気は空調機器に負っている部分が大きいです。
そのため、万が一設備に不具合があった場合、知らぬ間に空気が汚染されている可能性があります。
 
例えば、空調機器の故障などで、施設内の空気がうまく循環されていない場合、カビやウイルスがまん延したり、一酸化炭素や二酸化炭素の濃度が高くなってしまったりすることも。
そうなると、頭痛や吐き気、アレルギーなど、利用者に健康被害を及ぼす恐れがあります。
こうした問題を防ぎ、利用者や居住者の健康を守るためにも、定期的な空気環境の測定が必要なのです。

空気環境測定の対象となる施設

空気環境測定の実施が必要なのは、「特定建築物」に該当する建築物です。
特定建築物とは、主に不特定多数の人が利用する大規模な施設のことを指しますが、厚生労働省では次のように定義しています。
 
（１）建築基準法に定義された建築物であること。
（２）１つの建築物において、次に掲げる特定用途の１又は２以上に使用される建築物であること。特定用途：興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校（研修所を含む。）、旅館
（３）１つの建築物において、特定用途に使用される延べ面積が、3,000平方メートル以上であること。（ただし、専ら学校教育法第1条に定められている学校（小学校、中学校等）については、8,000平方メートル以上であること。）
（厚生労働省 建築物衛生のページ）
 
また、特定建築物以外でも、多数の人が利用する施設については、建築物環境衛生管理基準に従って維持管理をするよう努力義務が課せられています。

測定項目と基準

空気環境測定は、建築物の通常の使用時間中に、各階ごとに居室の中央部の床上75cm〜150cmの地点で専用の測定器を用いて行います。
空気環境測定の調査項目と基準は次の通りです。

 
※令和３年12月24日の政令等の改正により、基準値の一部が改正されました。
　上記は、令和４年４月１日施行後の基準値です。

空気環境測定における頻度

上記の１〜６の項目については、年６回および２カ月以内ごとに１回の実施が必要です。
７の「ホルムアルデヒドの量」については、新築、増築、大規模の修繕または大規模の模様替えを完了し、その使用を開始した時点から直近の６月１日から９月30日までの間に１回実施する必要があります。
測定結果をまとめた報告書は、ビル管理者が責任を持って保管しなければなりません。

空気環境測定の実施者

空気環境測定を行うのは、「空気環境測定実施者」です。
空気環境測定実施者とは、空気環境測定を行うために必要な国家資格で、空気環境測定実施者講習を受講し、試験に合格した者に与えられます。
資格を取得するには、ビルメンテナンス会社などで正社員として建築物における空気環境の測定に関する実務に一定年数従事した経験を持っている必要があります。

まとめ

 
空気は人が生きるうえで欠かせないものですが、目には見えません。
だからこそ、定期的に空気環境を測定し、日頃から清潔に保つことに努めたいものです。
当社には有資格者が多数在籍しており、万が一、空気環境に異常が見つかった場合は、原因を究明し適切に対応することができます。
学校、商業施設、オフィスビルなどの建物の空気環境測定は、実績豊富な信越ビル美装にお任せください。